マーティン・ジョン・クリストファー・フリーマン(英: Martin John Christopher Freeman, 1971年9月8日 - )は、イングランド出身の俳優。

人物

代表作には、シットコム・モキュメンタリー『The Office』(英国オリジナル版)で演じたティム・カンタベリー、ドラマ『SHERLOCK』で演じたジョン・ワトスン、ピーター・ジャクソン監督の『ホビット』映画三部作で演じたビルボ・バギンズ、ダークコメディ・クライムドラマ『FARGO/ファーゴ』で演じたレスター・ナイガードなどが挙げられる。

他にも、ロマンチック・コメディ『ラブ・アクチュアリー』(2003年)、コミックSF映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』(2005年)、半即興のコメディ『マーティン・フリーマンのスクール・オブ・ミュージカル』(2009年)、コメディスリー・フレーバー・コルネット3部作、中でもSFコメディ『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(2013年) などへ出演している。

エミー賞、英国アカデミー賞、エンパイア賞をそれぞれ1度受賞しているほか、エミー賞とBAFTA賞には2回、サターン賞とゴールデングローブ賞には各1回のノミネート歴がある。

俳優になるまで

フリーマンはハンプシャー・オールダーショットで、5人の子供の末っ子として生まれた。母フィロメナ(旧姓ノリス、英: Philomena Norris)と、父で海軍士官のジェフリー・フリーマン(英: Geoffrey Freeman)は、彼が子供の頃に離婚した。両親の離婚後、家族はオールダーショットからロンドン郊外のテディントンへと引っ越した。父ジェフリーは彼が10歳の時に心臓発作により亡くなった。イングランド国教会が主流派のイギリスにおいて、フリーマンはローマ・カトリックの信者として育った。フリーマンは、信仰の道は単純ではないものの、宗教が心の奥底で自分自身に影響を与えているとしている。

子供の頃は喘息持ちであり、腰の手術を受けたこともある。スカッシュが得意であり、9歳から14歳までイギリスのジュニアの代表チームに所属していた。フリーマンはサリー州チャートシーのサレジオ・スクール (Salesian School, Chertsey) に通った後、ブルックランズ・カレッジでメディアについて学んだ。

兄ティムはフレイザー・コーラスのメンバーとして活動していたほか、もうひとりの兄ジェイミーもミュージシャンとして活動している。コメディアンのベン・ノリスはいとこである。

活動歴

フリーマンは15歳の時にあるユース・シアター・グループに参加したが、17歳になるまで俳優業を生業にしようという自信は持てなかった。またセントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマに通ったが、ナショナル・シアターでの活動に参加するため退学した。2001年から始まったドラマ『The Office』で演じたティム・カンタベリー (Tim Canterbury) 役で一躍有名になったが、自身は2004年のインタビューで、「[あの役は自分の俳優としてのキャリアに]長い影を落としている」と述べている。またシットコム "Hardware" (en) に出演したほか、2002年の『アリ・G』、2003年の『ラブ・アクチュアリー』など、この時期に複数の映画に出演している。2005年の『銀河ヒッチハイク・ガイド』では主役のアーサー・デントを演じた。

コメディ作品中心に出演していたフリーマンだが、よりシリアスでドラマティックな役を演じるようになり、2003年にBBCが放送した歴史ドラマ "Charles II: The Power and The Passion" (en) ではシャフツベリ卿役を演じた。また "This Life" (en) 第2シーズン第1話にもごくわずか出演した。BBCのテレビシリーズ "The Robinsons" (en) では主演を務め、更にシットコム "Black Books" (en) の第1話にカメオ出演している。2007年には、ギャヴィン・クラクストン脚本・監督の "The All Together"" (en) 、ビル・ケンライトの劇場作品『笑の大学』The Last Laugh に出演した。ロックバンド、フェイス・ノー・モアによる『ジョーク』"I Started a Joke" のカバー作品では、ミュージックビデオに登場している。2009年5月には、ITVで放送された全4話のコメディ・ドラマ『ボーイ・ミーツ・ガール』で主演した。この作品は不意に互いの体が交換されてしまった、ヴェロニカとダニーの生活を描くものである。

BBCで放送中の、シャーロック・ホームズシリーズの舞台を現代に移したドラマ『SHERLOCK』では、ジョン・ワトスン役を演じている。初回の『ピンク色の研究』は2010年7月25日に放送され、歓迎的な批評を受けた。この作品でフリーマンは、2011年の英国アカデミー賞テレビ部門助演男優賞を獲得したほか、プライムタイム・エミー賞限定シリーズ及び映画部門助演男優賞 (for Outstanding Supporting Actor in a Limited Series or a Movie) にノミネートされている。

ピーター・ジャクソンによる映画『ホビット』3部作では、主役のビルボ・バギンズを演じた。シリーズ第1作の『ホビット 思いがけない冒険』では、フリーマンの演技に対しMTVムービー・アワード2013ベスト・ヒーロー賞、第18回エンパイア賞最優秀男優賞 が贈られている。

フリーマンは、サイモン・ペッグとエドガー・ライトによるコメディ映画、スリー・フレーバー・コルネット3部作全てに出演している。『ショーン・オブ・ザ・デッド』ではイヴォンヌのボーイフレンド、デクランとして台詞の無い役、『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』ではスコットランドヤードの巡査部長としてカメオ出演している。2013年に放映された3部作の最終作、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』ではメインキャストの1人、オリヴァー・チェンバレンを演じた。2013年10月5日には、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのリテラリー・アンド・ヒストリカル・ソサエティ (en) から、彼の名前が付いたフェローシップ(名誉会員権)が贈られた。2014年4月には、ダークコメディ・犯罪ドラマ『FARGO/ファーゴ』で、保険セールスマンのレスター・ナイガード (Lester Nygaard) を演じた。2014年7月にトラファルガー・スタジオズで開演した、シェイクスピアの『リチャード三世』ではタイトルロールを演じた。

2015年には、BBCのテレビ映画『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』に出演し、プロデューサーのミルトン・フルックマン(英: Milton Fruchtman)役を演じた。この映画は、ブラックリストにも登録されたテレビ監督レオ・ハーウィッツらによる、1961年に行われたナチス・ドイツの戦犯アドルフ・アイヒマン裁判撮影の奮闘記である。この映画には、実際の裁判の映像が挿入されている。デイリー・テレグラフ紙は、この映画について「完全にとりこにされる」(英: "absolutely enthralling")と評した。この映画は2016年4月に日本公開された。また2016年春に公開された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』ではエヴェレット・ロスを演じた。

私生活

フリーマンはハートフォードシャーに家を構え、2000年に放送されたチャンネル4のドラマ "Men Only" で知り合って以来のパートナー、アマンダ・アビントンと共に暮らしていた。2人の間には、2006年に生まれたジョー(英: Joe)、2008年に生まれたグレース(英: Grace)の2人の子供がいる。2人は『SHERLOCK』、"Swinging with the Finkels" (en) 、"The Debt"、"The Robinsons" (en) 、"The All Together" (en) などで共演している。長らく事実婚の状態が続いていたとされるカップルであるが、フリーマンは2014年のインタビューで、実際に入籍していることを匂わせつつも言葉を濁している。また2016年12月には、フリーマン・アビントン双方が別々のインタビューで、長いパートナー生活に終止符を打ち、円満に別離したことを発表した。アビントンとの別離後は、カムデン区ベルサイズ・パークに居住している。

2009年8月19日に放送された "Who Do You Think You Are?"では、自身の父方の祖父で医師のレナード・フリーマン(英: Leonard Freeman)が、ダンケルクの戦い(第二次世界大戦初期の撤退作戦)の数日前に殺害されたことが分かった。また、レナードの父(フリーマンの曾祖父)リチャードは、盲目のピアノ調律師で、聖アンドリュー教会 (ウエスト・ターリング)のオルガニストを務め、後にキングストン・アポン・ハルで音楽教師をしていたことが判明している。

フリーマン自身はベジタリアンである。自身の信仰については悩み続けており、「信仰と自分との関係は決して簡単なものじゃないんだ」("my relationship with my belief has never been easy.") と語っている。一方で、これらの葛藤はさておき、カトリックへの帰依は損なわれていないと話している。2011年には、ニュージーランド・クライストチャーチに大きな被害をもたらしたカンタベリー地震の被害者へ募金を集めるため、クリケットのチャリティ・マッチにゲスト・アンパイアとして参加している。2015年には、労働党の政見放送 (Party political broadcast) に登場し、同年5月に行われた2015年イギリス総選挙に先だって、労働党支持を表明している。

左利きである。

フィルモグラフィ

長編映画

短編映画

テレビ

舞台作品の出演歴

受賞とノミネート歴

(訳)は、日本語での正式名称が不明であり、賞名や部門名を直訳したことを示す。

日本語吹き替え

『SHERLOCK(シャーロック)』以降、森川智之が大半の作品で担当しており、「フリーマンの日本語吹き替え声優としておなじみ」と評されるほどに定着している。

森川は「マーティンの演技はとても重厚で、本格派の芝居をします。作品ごとに全く違った顔を見せてくるので、毎回吹き替えの作業はとても楽しみです。(中略)毎回期待以上のパフォーマンスを私たちに見せてくれるので、誰もがその魅力のとりこになるのではないでしょうか。私もその一人です」と、マーティンの演技を称賛している。

このほかにも、成田剣、小森創介、中村大樹、いずみ尚なども声を当てている。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • スティーヴ・トライブ 著、日暮雅通 訳『シャーロック・クロニクル』早川書房、2014年12月25日。ASIN 4152095121。ISBN 978-4-15-209512-1。OCLC 899971154。全国書誌番号:22518008。ASIN B00SXTKUVY(Kindle版)。 

外部リンク

  • マーティン・フリーマン - allcinema
  • マーティン・フリーマン - KINENOTE
  • Martin Freeman - IMDb(英語)

マーティン・フリーマン 写真・画像 (2)

martin freeman Martin freeman, Actors, Freeman

マーティン・フリーマン、幽霊いるかもと信じる|シネマトゥデイ

マーティン・フリーマン 写真・画像 (2)

デスクトップ壁紙 ファッション, ベネディクト・カンバーバッチ, シャーロック・ホームズ, マーティンフリーマン, 衣類, ジョンワトソン