ナクシャトラ(nakshatra, サンスクリット語: नक्षत्र, nakṣatra)とは、インド占星術ならびに天文学で使われる27もしくは28の星宿である。インド神話においてはダクシャの娘とされ、月神ソーマの妃とされる。
二十八宿との関係
類似のものとして中国の二十八宿がある。ナクシャトラは具体的にどの恒星をさしているのかは流派によって多少の違いがあり、二十八宿も時代によって違いがある。相互の最古の例を比較すると一致している恒星は7つしかないため、同一起源だとは考えられていない。また中国の二十八宿は実際の恒星で区分されているため広さが不均等であるが、ナクシャトラは均等に分割されているので実際の恒星との関係は理念的なものになっている。
のちにインド占星術を漢訳した「宿曜経」ではインド占星術を宿曜道と呼び、ナクシャトラを漢字にする際に既存の二十八宿を当てたので、中国古来の二十八宿とは見た目が紛らわしいが本来は別のものである(この際「牛宿」を除いて二十七宿としている)。またインド占星術でも中国からの影響でアジビット(牛宿)が設定されたが通常のナクシャトラとは別扱いになっている。
定義
天球上の月の通り道に当たる白道を、インド占星術上の基点から等分に27分割したもの。すなわち一宿あたり13度20分に細分化されたエリア。
- バビロニア占星術に由来する十二宮と絶対的な対応関係がある。
- 月の位置を表す場合には
- (太陽系内の)月の絶対的位置
- 恒星と対比した位置
- ティティのような、相対的関係とは異なる。
応用
- 出生占星術
- 性格
- 相性
- 択日(ムフルタ)
- ヴィムショッタリ・ダシャーの決定
出生占星術への応用は非常にベーシックな技法である。現在日本語で書かれたインド占星術本のほとんどが、ナクシャトラの内容のみに終始している。
技法
ナクシャトラの確定
ナクシャトラは基本的には月に対して適用し、他の星は黄道十二宮を使ったホロスコープ(月も含める)で見ることになる。下表には、参考としてトロピカル方式(西洋占星術)の度数を載せているが、ナクシャトラは基本的にサイドリアル方式において使うものであり、トロピカル方式で使うことはない。
*サイデリアル方式の度数はラヒリ・アヤナムシャを使用して算出
左列の「西洋(トロピカル)」に当てはめると、西洋占星術の獅子宮2度は、ナクシャトラではプシャーに当たることがわかる。
インド占星術の十二宮の境界と、ナクシャトラの境界が一致する箇所は3つある。占星術上、重大な意味がある。
アジビットは、二十八宿の牛宿に対応する。使用する場合は限られており、択日を行うときくらいである。なお、ウッタラ・シェーダーとシュラヴァナの間に挟みこまれるので、他の宿の境界は変動しない。
満月のときに




