松崎町(まつざきちょう)は、静岡県賀茂郡にある町。伊豆半島南西部の海岸沿いに位置する。町のキャッチフレーズは「花とロマンの里」。
町内には松崎温泉を始めとする温泉、なまこ壁の町並み等の史跡があり、夏の海水浴などを含め、多くの観光客が訪れる。
桜餅に使われる桜葉漬けは、全国の約7割が松崎町で生産されている。
地理
町の64%は山林であるが、町中心部に流れる那賀川・岩科川により、流域に約500haの耕地をもつ伊豆半島西側最大の平野となっている。
- 山: 長九郎山(996m) 、婆娑羅山(ばさらやま、608m)、烏帽子山(162m)
- 河川: 那賀川、岩科川
- 湖沼: なし
- 海域: 主に西から西北方向に開けている。南海トラフ巨大地震が発生した際には、最大12mの津波が到達することが予想されている。
気候
歴史
- 明治初年の時点で現在の町域内に以下の21村が存在。主に旗本領と掛川藩領で構成された。
- 那賀郡 : 江奈村、桜田村、池代村、大沢村、船田村、峰輪村、那賀村、建久寺村、吉田村、門野村
- 賀茂郡 : 松崎村、宮内村、伏倉村、南郷村、明伏村、小杉原村、岩科村、雲見村、石部村、岩地村、道部村
- 1882年(明治15年)1月1日 - 依田勉三、北海道十勝開拓を目的に晩成社を組織。7月、豆海汽船会社、依田佐二平により開業。西伊豆と東京を結ぶ豆海丸運行。
- 1883年(明治16年)3月15日 - 晩成社第1回移民団の依田勉三ら27人、大沢村を出発。
- 1887年(明治20年)-依田善六、駿豆汽船会社設立(のち伊豆浦汽船と合併し、豆州汽船会社と改称)。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の3村が発足
- 那賀郡中ノ郷村 ← 池代村、大沢村、船田村、峰輪村、那賀村、建久寺村、吉田村、門野村および賀茂郡南郷村、明伏村、小杉原村
- 賀茂郡松崎村 ← 松崎村、宮内村、伏倉村および那賀郡江奈村、桜田村
- 賀茂郡岩科村 ← 岩科村、雲見村、石部村、岩地村、道部村
- 1891年(明治24年)6月11日 - 中ノ郷村が中川村に改称。
- 1896年(明治29年)4月1日 - 郡制の施行により中川村の所属郡が賀茂郡に変更。
- 1901年(明治34年)3月15日 - 松崎村が町制施行して松崎町となる。
- 1909年(明治42年) - 駿河湾汽船、松崎町に設立、松崎-沼津間に松丸就航。
- 1929年(昭和4年)5月7日 - 全国標準相場であった松崎マユ市場閉鎖。
- 1932年(昭和7年)11月15日 - 浜町橋、鉄筋コンクリートで架け替え渡り初め式。
- 1955年(昭和30年)3月31日 - 中川村と合併し、改めて松崎町が発足。
- 1956年(昭和31年)6月1日 - 岩科村を編入。
- 2013年(平成25年)10月4日 - 「日本で最も美しい村」連合への加盟が認定された。
人口
行政
松崎町役場
町長
- 深澤準弥(2021年12月14日 - 、1期目)
マスコットキャラクター
- まっちー
不祥事
- 職員による暴言「めんどくせぇ」、および職務怠慢
2019年(令和元年)9月、ひとり親世帯への助成金、27世帯の約22万円を各家庭に振り込まず、申請した町民に対し「めんどくせぇ」と職員が暴言を吐いたことが、2020年(令和2年)2月21日に発覚、町長の長嶋精一は申請全世帯に対し、1軒ずつ謝罪に出る事態となった。
県の機関
- 静岡県警察 下田警察署 松崎分庁舎(峰輪)
地区
- 中川(なかがわ)地区 - 旧中川村(中ノ郷村)
- 那賀(なか) - 旧那賀村
- 建久寺(けんきゅうじ) - 旧建久寺村
- 吉田(よしだ) - 旧吉田村
- 船田(ふなた) - 旧船田村
- 門野(かどの) - 旧門野村
- 峰輪(みねわ) - 旧峰輪村
- 大澤(おおさわ) - 旧大沢村
- 池代(いけしろ) - 旧池代村
- 南郷(なんごう) - 旧南郷村
- 明伏(あけぶし) - 旧明伏村
- 小杉原(こすぎはら) - 旧小杉原村
- 松崎(まつざき)地区 - 旧松崎町(狭義)
- 江奈(えな) - 旧江奈村
- 櫻田(さくらだ) - 旧桜田村
- 松崎 - 旧松崎村
- 宮内(みやうち) - 旧宮内村
- 伏倉(しくら) - 旧伏倉村
- 岩科(いわしな)地区 - 旧岩科村(広義)
- 道部(みちぶ) - 旧道部村
- 岩科 - 旧岩科村(狭義)
- 岩科北側(いわしなほくそく)
- 岩科南側(いわしななんそく)
- 三浦(さんぽ)
- 岩地(いわち) - 旧岩地村
- 石部(いしぶ) - 旧石部村
- 雲見(くもみ) - 旧雲見村
合併協議
- 2000年以降、周辺市町村、または周辺市町との合併協議を行ってきたが、実現には至らなかった。
- 旧西伊豆町・旧賀茂村(いずれも現西伊豆町)との合併
- 下田市・河津町・南伊豆町との合併
姉妹都市・提携都市
日本
- 帯広市(北海道・十勝総合振興局)
- 1978年5月、開拓姉妹都市提携。
- 安曇村(長野県南安曇郡、現松本市)
- 1981年10月、姉妹都市提携。松本市への編入(2005年4月1日)以降も地域交流を続けている。
その他
- 日本で最も美しい村連合
- 美しい村づくり、ロゴマークの活用、サポーター会員制度、イベントの開催、広報活動を行っている地方自治体や地域の連合体に参加している。
経済
松崎町では観光業(温泉)、林業、漁業、商業などが盛んである。
農林業
- オオシマザクラ(桜餅用)
- かおり風景100選:松崎町桜葉の塩漬け
漁業
- 松崎漁港
- 岩地漁港
- 石部漁港
- 雲見漁港
教育
高等学校
- 静岡県立松崎高等学校
中学校
- 松崎町立松崎中学校
小学校
- 現存する小学校
- 松崎町立松崎小学校
- 廃校となった小学校
- 松崎町立中川小学校(2010年3月廃校。松崎小学校に統合)
- 松崎町立岩科小学校(2007年3月廃校、松崎小学校に統合)
- 松崎町立三浦小学校(2007年3月廃校、松崎小学校に統合)
その他の教育施設
- 松崎町立図書館
- 静岡県自動車学校松崎校
交通
町内に鉄道は通っていない。鉄道を利用する場合の最寄り駅は、伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅あるいは、伊豆急行線稲梓駅、蓮台寺駅、伊豆急下田駅。
バス
- 東海バス - 松崎営業所がバスターミナルとなっている。
- 伊豆急行線 - 伊豆急下田駅へバスで50分
- 伊豆箱根鉄道駿豆線 - 修善寺駅へバスで1時間40分
- 松崎町自主運行バス(運行委託先:東海バス松崎営業所)
- 西伊豆町自主運行バス(運行委託先:東海バス松崎営業所)
道路
- 一般国道
- 国道136号
- 主要地方道
- 静岡県道15号下田松崎線
- 静岡県道16号下田石廊松崎線
- 一般県道
- 静岡県道115号湯ケ野松崎線
- 静岡県道121号南伊豆松崎線
- 静岡県道122号松崎港線
船舶
- 松崎港 - 現在は定期旅客航路は開設されていない。沼津港から定期旅客船が出ていたが、2003年に廃止になっている。
名所・旧跡・観光スポット
史跡
- なまこ壁 - なまこ壁の通りは、平成元年度手づくり郷土賞(歴史をいかした街並み)受賞。
- 長八記念館
- 長八美術館
- 岩科学校 - 伊豆地区最古の小学校。国指定重要文化財。
- 中瀬邸
- 伊豆文邸
- ときわ大橋
- 室岩洞
神社
- 箕匂神社 - 中川・峰輪地区の式内社・旧村社。
- 仲神社 - 中川・那賀地区の式内社・旧村社。
- 伊那上神社 - 松崎地区の式内社・旧郷社。
- 伊那下神社 - 松崎地区の式内社・旧郷社。
- 國柱命神社 - 岩科地区の式内社・旧村社。
- 伊志夫神社 - 石部地区の式内社・旧村社。
- 雲見浅間神社 - 雲見地区の式内社・旧郷社。
温泉
- 松崎温泉 - 町中心部に所在。
- 大沢温泉 - 町東部に所在。
- 三浦温泉(岩地温泉・石部温泉・雲見温泉) - 町南西部に所在。
- 足湯
- 伊豆文の足湯(伊豆文邸東脇)
日帰り温泉
- 野天風呂 山の家
- ダジュール岩地(5月-10月、岩池海岸)
- 平六地蔵露天風呂(5月-10月、石部海岸)
- 赤井浜露天風呂(5月-10月、雲見海岸)※2019年9月1日から休止中、営業再開の予定なし
海水浴場
- 松崎海水浴場
- 岩地海水浴場 - 「東洋のコートダジュール」と称される。
- 石部海水浴場
- 雲見海水浴場
スキューバダイビング
- アクアティーク
- アイダイブ
- デュークダイビングサービス(DDS)
- ダイビングサービスはまゆ
- コリンズ
キャンプ場
- 伊豆松崎あそび島
- 雲見夕陽と潮騒の岬オートキャンプ場
- 雲見オートキャンプ場
- オートキャンプ場 花沢
観光施設
- 道の駅「花の三聖苑」
- 雲見くじら館 - 博物館。日本に数点しかないセミクジラの骨格標本などを展示。
祭事・イベント
映画・テレビの撮影
- 1976年 映画『エデンの海』
- 1983年 映画『天城越え』
- 1990年 松竹映画『つぐみ』
- 1990年 映画『稲村ジェーン』
- 2003年 映画『バーバー吉野』
- 2004年 TBSドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』
- 2004年 映画『新しい風』
- 2007年 NTVドラマ『セクシーボイスアンドロボ』第2話
- 2013年 TBSドラマ『とんび』
- 2013年 映画『ガリレオ・真夏の方程式』
- 2022年 映画『ゴーストブック おばけずかん』
文学
- 西村京太郎:『西伊豆美しき殺意』
- 若桜木虔:『石廊崎・堂ヶ島 万博船の殺人』
- 松山善三:『依田勉三の生涯』
著名な出身者
- 江戸時代の生まれ
- 本多正観 - 天明2年(1782年)、伊豆国賀茂郡道部村(幕藩体制下の伊豆掛川藩領道部村、のちの岩科村道部。現・静岡県賀茂郡松崎町道部)の生まれ。僧(京都本願寺本廟使)。実業家。教育者(浄感寺塾開祖)。
- 石田半兵衛 - 享和元年(1801年)頃、伊豆国那賀郡江奈村(幕藩体制下の伊豆掛川藩領江奈村。現・静岡県賀茂郡松崎町江奈)の生まれ。彫刻家。
- 入江長八 - 文化12年8月5日(1815年9月7日)、伊豆国賀茂郡松崎村明地(現・静岡県賀茂郡松崎町)の生まれ。左官職人、工芸家。
- 土屋三余 - 文化12年(1815年)、伊豆国那賀郡中村(幕藩体制下の伊豆旗本知行中村。現・静岡県賀茂郡松崎町那賀)の生まれ。漢学者。
- 小沢一仙 - 天保元年(1830年)、伊豆国那賀郡江奈村(幕藩体制下の伊豆掛川藩領江奈村。現・静岡県賀茂郡松崎町江奈)の生まれ。武士(藩士)。船大工(造船技師)。彫刻家。
- 鈴木真一 - 天保6年4月(1835年5月)、伊豆国賀茂郡岩地村(幕藩体制下の伊豆旗本知行岩地村。現・静岡県賀茂郡松崎町岩地)の生まれ。写真家。
- 依田佐二平 - 弘化3年2月10日(1846年3月7日)、伊豆国那賀郡大沢村(幕藩体制下の伊豆旗本知行大沢村。現・静岡県賀茂郡松崎町大沢)の生まれ。名主、豪農。官僚、政治家。実業家(製糸・養蚕業者、海運業界、豆海汽船会社創業者)。教育者。依田勉三の兄。
- 依田勉三 - 嘉永6年5月15日(1853年6月21日)生まれ。出生地は兄・依田佐二平と同じ。探検家。開拓者(北海道は十勝平野〈帯広〉の開拓者)。教育者。
- 明治生まれ
- 郡谷照一郎 - 1876年(明治9年)9月15日生まれ。衆議院議員。
- 近藤平三郎 - 1877年(明治10年)12月11日生まれ。薬学者。軍医。文化勲章受章者。
- 石田禮助 - 1886年(明治19年)2月20日、静岡県那賀郡江奈村(現・松崎町江奈)生まれ。実業家(三井物産社長、国鉄総裁)。
- 岡村末次郎 - 1911年(明治44年)生まれ。船大工(造船技師)。
- 大正生まれ
- 三國連太郎 - 1923年(大正12年)1月20日、群馬県太田町(現・太田市太田地区)生まれ。静岡県賀茂郡松崎町育ち。俳優。【転入】※生後7か月の時、父の故郷である松崎町に転居してきた。
- 昭和生まれ
- 植松晃士 - 生年非公開。ファッションプロデューサー。実業家。活動歴は1989年(平成元年)から。
脚注
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- 松崎町 (town.matsuzaki) - Facebook
- 松崎町 (@matsuzakitown_official) - Instagram
- 松崎観光協会
- ウィキトラベルには、松崎町に関する旅行ガイドがあります。
- 松崎町に関連する地理データ - オープンストリートマップ
- 地図 - Google マップ




